白癬（Ringworm: 真菌性皮膚感染症）

原因、症状、予防、治療

白癬は「環（リング）」という名前にもかかわらず、虫ではなく、皮膚・頭皮・爪に感染する真菌（カビ）によって引き起こされる感染症です。伝染性が高く、中心が赤く周囲が盛り上がった鱗状の円形の発疹が特徴です。原因・症状・治療法を理解することで、効果的な管理や拡大予防が可能です。

白癬とは？

白癬（データマトファイトーシス）は、皮膚表層に寄生するデータマトファイトと呼ばれる真菌によって発症します。炎症や赤い発疹、かゆみ、鱗状または潰瘍になることもあります。手足・頭皮・鼠径部・爪など様々な部位に生じ、直接接触や物の共有でも感染します。高温・湿度の高いシャワールームやプールなどでも拡がります。

原因

白癬菌は、温かく湿度の高い環境で増殖しやすく、感染経路は以下の通りです。

1. 皮膚と皮膚の直接接触：感染者やその個人用物品（タオル・靴・衣類）から
2. 湿った場所との接触：共同シャワー、サウナ、プール周辺を裸足で歩く
3. 動物：犬や猫などペットから人にも感染
4. 免疫力低下：糖尿病や薬による免疫抑制で発症リスク増加

症状

感染部位によって異なりますが、共通症状は以下の通りです。

• 赤くてかゆい発疹：円形または斑点状、非常にかゆみが強い
• 鱗状・腫れた皮膚：部分的にざらざら、炎症を伴う
• 皮膚の剥がれ・ひび割れ
• 爪の変化：爪がもろく・変色・厚くなる

予防方法

感染予防には下記が有効です。

• 個人用品（タオル、靴、衣類）を共有しない
• 清潔と乾燥を保つ、特に汗をかきやすい足・鼠径部・わき
• 通気性の良い靴を選び、湿った靴下や靴の使用を避ける
• 皮膚疾患のあるペットに触るのは控え、獣医師に相談
• 入浴や運動後は、指や体の隙間までしっかり乾かす

治療方法

感染部位や重症度によって異なります。

1. 外用抗真菌薬・クリーム：クロトリマゾール、テルビナフィン、ケトコナゾール含有の市販薬や処方薬
2. 内服抗真菌薬：広範囲やクリーム抵抗例では医師による薬処方
3. 患部を清潔・乾燥に保つ：洗濯したての乾いた衣類を着用。再感染防止のため未洗濯品を再使用しない

医療機関受診の目安

抗真菌クリーム使用後1～2週間経っても改善しない場合、症状が悪化・拡大した場合、膿・発熱・腫れなど重症化の兆候があれば医師へ相談を

まとめ

白癬は一般的だが治療可能な感染症です。適切な衛生管理と早期治療、予防策の徹底で感染拡大や再発を抑えることができます。症状が改善しない・重症化する場合は躊躇せず医療機関に相談しましょう。